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2016.02.15

非上場企業の株式評価における資産評価の活用

東京商工リサーチの調査によると、全国の中小企業の社長は5人に1人が70歳以上で、高齢化の進展が著しい状況にあります。昨年1月の相続税改正の影響もあり、事業承継の足枷になっているのが、非上場企業の株式評価方法です。

財産評価基準通達によれば、取引相場のない株式は相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価することとなっています。

このうち、原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を従業員数、総資産価額及び売上高により大会社、中会社又は小会社(※)のいずれかに区分して、「類似業種比準方式」又は「純資産価額方式」により評価します。原則として、大会社は「類似業種比準方式」を適用します。中会社は両方式を併用しますが、「類似業種比準方式」を重視した配分率が適用されています。小会社は「純資産価額方式」を適用します。

   ※大会社…従業員100人以上又は売上20億円以上
      中会社…従業員100人未満で売上6,000万円20億円
      小会社…従業員100人未満で売上6,000万円未満


「類似業種比準方式」は、事業内容の類似する上場企業の株式の株価に比準して株価を評価する方法のこといいます。この方法を採用した場合、類似上場企業の株価が高値で推移している局面では、評価額が高く算出されてしまいます。流動性の低い中小企業の株を流動性の高い上場企業の株価に連動させて評価するこの方式は説得力に欠け、実際に中小企業のM&Aにおける株価算定では、殆ど採用されない手法でもあります。

一方、「純資産価額方式」は株式を会社財産に対する持分と考え、会社の純資産額に基づいて株式の評価額を算定する方法です。評価の手順としては、まず課税時期において会社の所有する資産及び負債を財産評価基本通達によって評価し、資産の合計額-負債の合計額=純資産額(①)を求めます。次に、帳簿価額(税務上)による資産の合計額-負債の合計額=帳簿上の純資産額(②)を算定します。①-②が=含み益となり、この含み益に対する法人税相当額を①から控除した金額を純資産額とし、発行済株式数で除した金額を評価額とする方法です。

「純資産価額方式」は、中小企業のM&Aにおいて中心的な手法として採用されている時価純資産法に類似した評価方法であり、中小企業の株価算定方法としては適切な方法といえます。この方式を採用する場合、①の純資産額が小さければ小さいほど、税務上は有利になります。

企業資産の評価では、不動産鑑定評価を活用するケースはあると思いますが、動産評価は殆ど利用されていません。しかしながら、財産評価基本通達によれば、「一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。」とされています。また、たな卸商品等の評価においても、不良在庫や市場性が著しく低下した商品等が含まれている場合は、専門家の評価を活用いただくことが有用となります。

弊社グループでは、不動産・動産等の企業資産一括評価が可能ですので、非上場企業の株式評価で、「純資産価額方式」を適用する場合の資産価値の算定にあたっては、弊社までご相談いただければと思います。

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