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2016.02.05

構築物の評価

構築物とは、建物と建物附属設備以外の土地の上に定着した建造物、土木設備、工作物をいいます。具体的には、塀、防壁、堤防、トンネル、橋梁、桟橋、煙突、貯蔵用タンク、ため池、ダム、屋外広告塔、パイプライン、立体駐車場、鉄道事業用設備(線路、枕木、信号、送配電用鉄塔、電柱等)、通信事業用設備(通信ケーブル、電線、アンテナ等)、舗装路面・舗装道路(アスファルト敷や煉瓦敷等)、上下水道管などがあげられます。

構築物は、相続税の対象資産に含まれますが、その評価方法は国税庁の財産評価基本通達によると、{(構築物の再建築価額※)-(建築の時から課税時期までの期間に応ずる償却費の額の合計額又は減価の額)}×0.7、で計算します。再建築価額とは、評価基準日においてその構築物を新たに建築等する場合の費用です。税理士の方に確認したところ、実務上は{ }内の金額は、確定申告上の簿価をそのまま計上することが多いようです。

構築物は、通常それ単体では売買の対象になることは稀ですが、不動産と一体となって売買されるケースや事業譲渡に伴い所有権が移転されるケースは結構頻繁に見受けられます。

多くの場合は、相続税算定における実務上の扱いと同じ様に、簿価を基準に譲渡価格が決定され、構築物の評価に焦点が当たることはこれまで殆どありませんでした。

構築物の評価は、コストアプローチ(原価法)が中心的な評価手法になりますが、特に耐用年数の判定には注意が必要です。水道の評価を例に取りますと、水道管の法定耐用年数は40年に設定されていますが、実際の評価では、水道事業者の実使用年数の調査、管路事故の実例を踏まえた経過年数による劣化予測や耐震性能を踏まえて、総合的に耐用年数を判定することが必要です。また、管路の布設環境(地質、土壌の腐食性、ポリエチレンスリーブの有無等)も考慮に入れなければなりません。

また、インカムアプローチ(収益法)の検討も可能な限り、取り入れることが必要です。PFI(Private Finance Initiative)法の改正により導入された「公共施設等運営権」を、上下水道事業や地下鉄事業などに活用しようという動きが見られます。運営権の算出方法については、運営権者が将来得られるであろうと見込む事業収入から事業の実施に要する支出を控除したものを現在価値に割り戻したもの(利益)を基本とします。将来得られるであろうと見込む事業収入は、水道事業の主たる構成資産である構築物から生み出されていることを考慮すれば、運営権の多寡は構築物の価値に大きな影響を与えることになります。

運営権は物権として譲渡・移転が可能で、また既存施設においても運営権を設定することが可能であるなど、これらあらゆる場面において運営権の算出にあたっては、構築物の適正な価値把握が必要不可欠と言っても過言ではありません。

資産評価の専門家である弊社所属のASA国際資産評価士であれば、公正中立な立場で構築物を適正に評価することが可能ですので、構築物の評価の際はぜひ弊社までご相談ください。

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