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2015年09月
2015.09.29
機械・設備の評価~簿価と評価の違い~
我が国では、機械・設備の価値算定が必要となった場合、税務・会計上の簿価で代用することが一般的に行われています。
弊社所属のASA国際資産評価士は、機械・設備の経済的価値を適切に反映した評価を行っておりますが、実際の評価額と簿価との価格差がどの程度生じるかを、弊社が過去に取り扱った事例を用いてご説明します。
今回、ご紹介するのは、ガソリンスタンド(GS)のPOSシステムです。
依頼者から提出された資産台帳によると、POSシステムの取得年は2012年、取得価格は約750万、法定耐用年数は10年で、簿価は約530万でした。依頼目的はセルフ式GSを不動産・動産一括で別のGS事業者へ売却する場合の適正価値の算定でした。
POSシステムはセルフ式GSの経営には必要不可欠な資産であり、システム導入から間がないということもあり、一見すると十分な価値がある資産のように思えます。ところが、GSのPOSシステムは、大手元売り事業者ごとに異なるシステムが採用されており、現在導入されているPOSシステムは某大手系列でしか使用できないことが判明しました。また、買い手が同じ系列の事業者であったとしても、当該某大手元売りは3年後にシステムを更新することが既に決定しており、現在のPOSシステムの使用可能期間は3年しか残っていないこともわかりました。
以上から、評価額としては、某大手系列以外が買い手の場合は0円(正確には、撤去・処分費用だけマイナス)、同じ系列が買い手の場合でも簿価より大幅に低い評価額が妥当となりました。
この例のように、税務・会計上の簿価を、評価の代用とすることには問題が多く、適切な価値算定には専門家の資産評価をご利用いただくことをお勧めいたします。
機械・設備の評価、動産評価が必要な場合は、資産評価の専門家である弊社所属のASA国際資産評価士にご相談ください。
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